現場を前に進めるハブ
目的整理、要件化、制作指示、レビュー、関係者調整を通じて、制作物を完成まで導く役割。
Training
01 / Why
ディレクター案件は「コミュニケーション力があります」だけでは提案精度が出ません。案件側が求めるのは、現場を前に進める段取り、合意形成、制作理解、品質管理の再現性です。
ディレクターは、クライアント、デザイナー、エンジニア、マーケターの間に立ち、目的を整理して制作を進める現場のハブです。 SES営業に必要なのは、ディレクション理論を語ることではありません。 案件概要の「要件定義」「進行管理」「ワイヤー」「GA」「PM兼任」が、候補者のどの経験と合うのかを判断することです。
「Webディレクター経験あり」では弱いです。「ヒアリングから要件定義、ワイヤー作成、制作進行、レビュー、改善提案まで担当」など、工程と成果物を具体化します。
動画ディレクター、編集ディレクター、ゲームディレクター、広告クリエイティブ全般ではなく、SES提案で登場しやすいWeb/開発寄りのディレクターを中心に見ます。
02 / Overview
ディレクターは、方向性を決め、チームをまとめ、要件定義から制作進行、品質管理まで担う役割として整理できます。営業実務では、PM・デザイナー・エンジニアとの違いを切り分けて読みます。
目的整理、要件化、制作指示、レビュー、関係者調整を通じて、制作物を完成まで導く役割。
PMはプロジェクト全体の責任者寄り。ディレクターは制作現場、品質、顧客との具体的な進行に寄ることが多い。
デザイナーは制作物そのものを作ることが中心。ディレクターは作る目的、仕様、進め方を整える。
ディレクターは実装者ではないが、HTML/CSS、CMS、技術制約を理解していると提案価値が高い。
| 観点 | ディレクター | PM | 営業判断 |
|---|---|---|---|
| 主な責任 | 要件整理、制作進行、品質管理、顧客調整 | 予算、体制、全体計画、意思決定 | PM経験ありだけでディレクター案件に出さず、制作現場の経験を確認する。 |
| 成果物 | 要件定義書、サイトマップ、ワイヤー、進行表、議事録、改善レポート | 計画書、課題管理、予算管理、経営層報告 | 案件概要にある成果物とスキルシートの記載を照合する。 |
| 評価される力 | 曖昧な要望を具体化し、チームに伝える力 | 全体最適で判断し、リスクを管理する力 | 面談では「どう合意形成したか」を聞く。 |
03 / Types
同じディレクターでも、Web制作寄り、クリエイティブ品質寄り、技術理解寄りで提案先が変わります。肩書きだけでなく、主な成果物と判断範囲を見ます。
| 種類 | 主な役割 | よく出る成果物 | 提案前に確認すること |
|---|---|---|---|
| Webディレクター | Webサイトの企画、制作、運用を統括する。 | サイトマップ、ワイヤー、進行表、CMS更新、GAレポート。 | 制作進行だけか、要件定義・改善提案までできるか。 |
| アートディレクター | ビジュアル表現、トンマナ、ブランド一貫性を管理する。 | デザイン方針、レビュー、制作指示、ブランドガイドライン。 | 自分で作る人か、デザイナーに指示・監修する人か。 |
| クリエイティブディレクター | コピー、映像、デザインを含めたクリエイティブ戦略を統括する。 | 企画書、コンセプト、プレゼン資料、キャンペーン方針。 | マーケティング視点、顧客プレゼン、企画責任の有無。 |
| テクニカルディレクター | 技術面から制作を支え、エンジニアと顧客の橋渡しをする。 | 技術要件、実装方針、性能・セキュリティ観点、開発調整。 | フロント/バックエンド理解、技術選定、エンジニアリード経験。 |
04 / Work Flow
ディレクターの業務範囲は、ヒアリング、企画・設計、制作進行、品質管理、納品・改善です。営業はそれぞれを「案件概要の言葉」と「面談質問」に変換します。
何を作るかではなく、何を解決するかを明確にする。目的、ターゲット、競合、予算、制約を確認する工程。
機能要件、非機能要件、サイトマップ、ワイヤーフレームを作り、顧客と合意する工程。
WBS、ガントチャート、定例、課題管理でデザイナー・エンジニアの作業を前に進める工程。
デザインレビュー、コードレビュー、テスト確認、ブラウザ確認、修正管理を行う工程。
GA4、Search Console、SEO、CVR、A/Bテストなどを見て改善提案する工程。
画面の骨格です。見た目の完成品ではなく、情報設計とレイアウト合意に使います。
作業を細かく分けた一覧です。作成経験と更新経験ではレベルが違います。
運用改善案件で差が出ます。数値を見たことがあるか、改善提案までしたかを分けて確認します。
05 / SES
SES市場では、Web制作会社、広告代理店、事業会社、開発会社のいずれでもディレクター需要があります。特に「手を動かせるディレクター」は評価されやすいです。
進行表、定例、課題管理、レビュー調整が中心。初級から提案しやすいが、指示待ちでは弱い。
ヒアリング、サイトマップ、ワイヤー、制作進行、テスト、公開まで一連の経験が刺さる。
GA4、SEO、CVR、ヒートマップ、ABテストなど、数字を見た改善経験が評価される。
エンジニアと仕様を詰め、技術制約を踏まえて調整する。テクニカルディレクター寄り。
「PM/ディレクター兼任」はよくあります。予算・体制責任まで見るPMなのか、制作現場を回すディレクターなのか、責任範囲を必ず確認します。
06 / Keywords
キーワードは暗記するものではなく、候補者に確認する質問へ変換する入口です。
ヒアリング要件定義RFP提案書サイトマップワイヤーフレーム
WBSガントチャートBacklogJiraNotion課題管理
HTML/CSSCMSWordPressレスポンシブFigmaテスト確認
GA4Search ConsoleSEOCVRA/Bテスト改善提案
「進行管理」はスケジュール更新だけか、遅延時の調整までか。「要件定義」は同席だけか、整理・文書化・合意形成までか。「GA経験」は閲覧だけか、改善提案までかを分けます。
07 / Domains
ディレクターは領域によって必要な知識が変わります。候補者の経験が案件領域に近いかを見ます。
ページ構成、ワイヤー、CMS、SEO、公開進行。顧客折衝と制作会社連携が重要。
短納期、ABテスト、CVR改善、広告代理店連携。数字を見た改善経験が強い。
商品導線、決済、在庫、フォーム、CV改善。非機能要件や運用フロー理解が重要。
業務画面、仕様調整、エンジニア連携、ユーザー改善。テクニカル理解が差になる。
08 / Skill Sheet
ディレクターの経歴は、経験年数より「どの工程を、どの責任で、どの成果物まで担当したか」を読みます。
| 経歴書の記載 | そのままだと弱い理由 | 面談で確認すること | 提案での補足 |
|---|---|---|---|
| Webディレクターとして進行管理 | 作業範囲が広すぎる。 | WBS作成、定例運営、遅延調整、レビュー管理のどこまでか。 | 進行表更新だけでなく、遅延時の調整と顧客報告まで担当。 |
| 要件定義を担当 | 同席だけの可能性がある。 | ヒアリング、整理、文書化、合意形成まで主導したか。 | 顧客要望を機能/非機能要件に整理し、要件定義書へ落とし込み。 |
| GAを使用 | 閲覧だけか改善までか不明。 | 見ていた指標、レポート作成、改善施策の経験。 | GA4で流入・CVを確認し、導線改善案の作成まで経験。 |
09 / Interview
面談では、肩書きではなく「曖昧な状況をどう具体化し、誰を巻き込み、どう着地させたか」を確認します。
「提案時に担当範囲を正確に伝えたいので、要件定義は同席・整理・文書化・合意形成のどこまで担当されたか教えてください。」
「進行管理経験ありと記載がありますが、WBS作成、定例運営、遅延時の代替案提示、顧客報告のうち経験があるものを教えてください。」
10 / Level
ディレクターのレベルは、経験年数よりも任された範囲、判断の深さ、合意形成、改善提案で見ます。
議事録、進行表更新、タスク確認、レビュー依頼など。指示を受けて正確に回せる。
提案しやすい案件制作進行補助、Web運用、PMO補助、議事録・課題管理中心。
ヒアリング、要件整理、ワイヤー、WBS作成、顧客折衝、遅延調整まで担当できる。
提案しやすい案件Webディレクター、サイトリニューアル、CMS導入、LP制作進行。
RFP読解、提案書、見積もり、KPI設計、複数案件管理、チームビルディングまで関与できる。
提案しやすい案件大規模リニューアル、サービス改善、テクニカルディレクション、PM兼任。
| 質問 | 弱い回答 | 提案可能 | 強く推せる |
|---|---|---|---|
| 要件定義で何をしましたか | 打ち合わせに参加しました。 | 要望を整理してページ一覧・機能一覧に落とし込みました。 | 顧客課題をヒアリングし、機能/非機能要件、優先度、変更管理まで合意形成しました。 |
| WBSは作れますか | 進行表を更新していました。 | タスク、担当、期限を整理して進捗管理していました。 | 成果物からタスク分解し、依存関係、バッファ、マイルストーン、遅延時の代替案まで設計しました。 |
| 遅延時にどう対応しますか | 関係者に急いで確認します。 | 原因と影響範囲を確認し、関係者へ報告します。 | 原因、影響、選択肢、推奨案を整理し、スコープ・品質・納期のどこを調整するか合意形成します。 |
| GA4経験を教えてください | 数字を見たことがあります。 | PV、流入、CVをレポート化していました。 | 数値から仮説を立て、CTA・導線・コンテンツ改善を提案し、効果測定まで行いました。 |
| エンジニア連携で意識することは | 分かりやすく伝えます。 | 仕様、期限、修正内容を整理して伝えます。 | 技術制約、優先度、未決事項、受入条件を明確にし、顧客要望を実装可能な粒度へ翻訳します。 |
11 / Mismatch
ディレクター案件は役割が広いため、似た言葉を同じ意味で扱うとミスマッチになります。
| よくあるミス | なぜ危ないか | 提案前に確認すること |
|---|---|---|
| 進行管理経験だけで要件定義案件へ出す | スケジュール更新と要件整理・合意形成は別スキル。 | ヒアリング、文書化、優先度整理、顧客合意の経験。 |
| PM経験者をディレクター案件へそのまま出す | 制作現場、ワイヤー、レビュー、CMS運用の経験がない可能性。 | 制作物への関与、デザイナー/エンジニアへの指示経験。 |
| GA経験ありだけで改善案件に出す | 閲覧だけでは改善提案や効果測定を任せにくい。 | 見ていた指標、仮説、施策、結果を確認する。 |
| テクニカルディレクターを通常Webディレクターと同一視する | 求められる技術理解やエンジニア調整の深さが違う。 | 技術選定、API、性能、セキュリティ、開発チームリード経験。 |
| ワイヤー作成経験をUIデザイン経験として説明する | ワイヤーは情報設計で、完成デザイン制作とは違う。 | Figmaでのモック作成、デザイン制作、デザイナー監修の範囲。 |
| RFP経験を軽く見る | 上級案件では課題理解・提案構成・見積もり観点が評価される。 | RFP読解、提案書作成、コンペ対応、評価基準の整理経験。 |
12 / Proposal
提案コメントは「ディレクションできます」ではなく、案件概要の不安を埋める情報を短く添えます。
13 / Practice
ここでは、案件概要、スキルシート、候補者比較を使って、実際の提案前チェックに近い形で判断します。答えをすぐ見るより、まずは「何を確認すべきか」を自分の言葉で整理してください。
案件概要から、進行管理メインなのか、要件定義・改善提案・PM兼任まで求められるのかを読み分けます。
制作ディレクター寄りですが、進行管理だけでは不足です。サイトマップ整理、ワイヤー作成、顧客折衝があるため、中級のWebディレクターが適します。PMの予算・体制責任までは強く見えません。GA4/SEOは歓迎なので、改善提案経験があれば加点として補足します。
開発寄りのディレクションです。要件定義、仕様調整、受入条件整理が必須なので、制作進行のみの候補者は弱いです。GA4やヒートマップをもとに改善案を作るため、分析・改善経験も重要です。PM兼任というより、テクニカルディレクターまたは上級Webディレクター寄りで見ます。
弱い記載を、面談で確認すべき観点と提案に使える表現へ変換します。
| 弱い記載 | 確認観点 | 提案向け表現 |
|---|---|---|
| Webディレクターとして進行管理を担当 | WBS作成、定例運営、遅延時の調整、顧客報告まで担当したか。 | WBS作成から定例運営、遅延時の影響整理、顧客報告まで担当。 |
| 要件定義を経験 | 同席だけか、ヒアリング、整理、文書化、合意形成まで主導したか。 | 顧客ヒアリングから要望を機能/非機能要件へ整理し、要件定義書への落とし込みと合意形成を担当。 |
| GAを使った改善経験あり | 見ていた指標、仮説立案、改善施策、効果測定まで経験したか。 | GA4で流入・CV・離脱箇所を確認し、CTAや導線改善案の作成、効果測定まで経験。 |
サンプル案件に対して候補者A/B/Cを比較し、誰を出すか、誰は不足があるか、追加確認と提案コメントまで整理します。
既存Webサービスの画面改善。顧客要望の整理、ワイヤーフレーム作成、開発チームとの仕様調整、Backlogでの課題管理、GA4を見た改善提案が求められる。
議事録作成、進行表更新、レビュー依頼が中心。顧客折衝とワイヤー作成は未経験。
要件整理、ワイヤー作成、顧客折衝、WBS作成、制作進行まで経験。GA4はレポート確認レベル。
GA4改善、ヒートマップ分析、テクニカルディレクション、受入条件整理まで経験。単価は高め。
第一候補はCです。GA4改善と開発寄りの仕様調整まで求められているため、最も案件に近いです。単価や稼働条件が合わない場合はBを提案し、GA4は追加確認または補足条件にします。
Aは進行表更新中心のため、要件整理、ワイヤー、顧客折衝、GA4改善が不足します。Bは中級として提案可能ですが、GA4改善が閲覧レベルなら強く推しすぎない方が安全です。
Bには、GA4で見ていた指標、改善案を出した経験、開発チームとの仕様調整範囲を確認します。Cには単価、稼働開始日、PM責任まで求められた場合の対応可否を確認します。
既存Webサービスの要件整理からワイヤーフレーム作成、Backlogでの課題管理、開発チームとの仕様調整まで経験があります。GA4を用いた改善提案経験もあり、画面改善案件との親和性が高い人材です。
14 / Check
答えを開く前に、自分の言葉で説明できるか確認してください。
15 / Summary
ディレクター提案は、肩書きではなく、案件側が必要とする工程・成果物・調整範囲に候補者の経験を接続する仕事です。
要件定義、進行管理、ワイヤー、GA、PM兼任の意味を分けて読む。
担当工程、成果物、合意形成、遅延対応、改善提案の有無を見る。
「何を担当したか」から「どう判断し、どう着地させたか」まで深掘る。
案件概要の不安に対して、近い経験と任された範囲を短く補足する。
提案コメント例